さかつう鉄道模型店
プラ製品で遊ぶ米国の客車列車Web版

(American Passenger Trains by Plastic Models)

その9:
サザン・パシフィック(SP)鉄道
"サクラメント・デイライト号
("Sacramento Daylight")
(仮)
鉄道名 Southern Pacific Lines(SP)
列車名 Sacramento Daylight
(Train Number:53, 54)
区 間 Lathrop - Sacramento
(共にCalifornia州)

《目 次》
1.実 物(未記載)
2.遂に揃った!?20年掛かりの客車編成
3.模型(HOスケール):実物忠実編成
4.模型(HOスケール):なんちゃって編成
5.模型(HOスケール):もっとなんちゃって編成

〈1.実 物〉
 ロサンゼルス-サンフランシスコ間の昼行座席
特急『コースト・デイライト(Coast Daylight)』
号が運転開始した当時、『カリフォルニアの
州都サクラメントに行かない』という路線上の
問題がありました。
 そこで同区間でもテハチャピ・ループを経由
する内陸側路線を使用する『サン・オーキン・
デイライト(San Joaquin Daylight)』号を
新設し、途中駅から分割編成として州都
サクラメントに乗り入れる事になったのが、
この列車です。
 客車自体はコースト・デイライト号に新車を
入れた際の余剰車+足りない分は手持ちの
旧型車からの改装車を用いています。
 特に編成最初の荷物・座席合造車は
サクラメント・デイライト号の分が足りなく、
特に乗客が乗る事も無い可能性が
高かった事から旧型荷物・座席合造車
1輛の塗り替えで対処されました。
またサン・オーキン・デイライト号も荷物・
座席合造車が検査等の際は旧型
荷物車+流線形座席車にて代用
されました。
*コースト・デイライト号の荷物・座席
合造車が検査の際はサン・オーキン・
デイライト号から一時的に借り上げ
られていたものと思われます。
〈2.遂に揃った!?20年掛かりの客車編成〉
 すべては私の高校時代にさかのぼります。アメリカ
形を始めるにあたって月刊とれいん誌(プレス・
アイゼンバーン刊)にて松本謙一氏が当時連載
していた『50州あるふぁべっと』を読んでいた際、
ある機関車に目が留まりました。それは
カリフォルニア州の回に出てきたデイライト塗装
ながら小柄な蒸気機関車でした。

 ウェストサイドモデルス/マイクロキャスト水野製
のその蒸気機関車の模型は『サクラメント・
デイライト号の専用機』として紹介されており、
動輪配置はアトランティック(=4-4-2)という
快速旅客機仕様、同じデイライト号用の
GS-4が履いている80インチ(=約203cm)
動輪を凌ぐ84インチ(=約213cm)の大直径
スポーク動輪、お供には旧型合造車ながら
やはりデイライト塗装の客車にサン・オーキン
・デイライト号から分割された編成を牽引して
州都サクラメントへ運行されていた、という
記事はまさに小レイアウトに似合う模型向き
の実物でした。
 ある日、銀座天賞堂の4階にあった
中古ショップのエバーグリーンショップで
機関車+合造車(=イリー・リミテッド/
クマタ)の出物を見つけましたが
『セットで10万円!』という価格には、
さすがにその時は手が出ませんでした。

 時は過ぎ、私が旧さかつうへ入社した
2000年代初頭、旧モデル・ダイ・
キャスティング/ラウンドハウス
(Model Die Casting/Roundhouse)社
がアサーンに吸収される寸前、同社の
ハリマン4-4-2蒸気機関車のキットを
入手したのです。それは噂どおりの
『とんでもないキット』で、開けた瞬間
『アメリカ人は、よくこんなの組めるなあ』
というのが率直な感想でした。
 とりあえず、その4-4-2のキットは『無かった
事』にして仕舞ってしまい(当時、カルスケール
から同製品用のディテールアップキットもあった
のですが、既に入手難でした)、代わりに
店頭に中古で出ていたPFM/SKIが作った
A-3(=A-6の元になった形式)を入手。
これは実車の原形に近いので従台車が
内側台枠だったりするのですが、これに
当時バックマンから分売されていた
『Medium Length Vanderbilt
Tender/SP-Oil Version』というのが
あったので『これでも繋がるようにすれば、
それらしく見えるかも?』と考えていました。

 2009年頃、新額堂の広告に『ウェスト
サイド・モデルス製SPテンダーあります』
という項目が写真入りで掲載されました。
『これは間違いなくミズノがA-6を作った際の
余りに違いない!』と思い同店の竹中氏に
電話して入手。『PFM-SKIのA-3に、
これをつなげれば電気的にも簡単なはず』
と思って後は塗装するだけになっていました。
(この時点でバックマンのテンダーが余剰に。
ラインズだったレタリングまで削ったのに…。)

 2010年7月下旬、アサーン/ラウンドハウス
社の手によって古典2-6-0の再販ラインナップ
に『なんちゃってデイライト塗装機』が入り、
『正式なのを入手するまで、これでも
良いかな?』と思い、1603号機を発注、
後に無事入手。
(現在、店頭にてMRCデコーダーの搭載
作例として日々停車しつつサウンドを
鳴らしています。)

 それと前後して同年のある日、久しぶりに
熊田貿易のホームページの米国型委託品
リストを見ていたとき『PSC Harriman
Baggage-Chair/Daylight #3167』
という1行を見つけたのです!
 この車輛はサクラメント・デイライト専用車
として唯1輛、ハリマンの旧型コンバインから
塗装変更された彼の地の客車ファンには
有名な存在でイリー・リミテッド/クマタで
1度生産された後、PSCとコーチヤード
が韓国のメーカーに製造させたものが
各1回ずつ発売されましたが最新版である
コーチヤード製品は出来は良いけど
たいへん高価(=輸入元のプレス・
アイゼンバーンに聞いたら日本円で
6~7万円!)。
 すぐに熊田貿易の樋口氏に電話して
取り置きしていただき、その週に出かけて
入手。

 さらに1年後の2011年5月下旬、またまた
アサーン/ラウンドハウスの手によって合併後
、再販になっていなかった60フィート長級
ハリマンカーシリーズがアーチルーフ・カー
シリーズとして復活。ただ復活しただけで
なくマグネット式で取り外し可能な屋根、
ディテールアップした床下機器、金属製
手すりや新規作成のステップ類など、
大幅にグレードアップして発表。第一弾
ラインナップにSPデイライト塗装が入り、
その中にコンバイン3167号があり『アサーン
、わかっているな!』という感じでした。
それ以外の荷物車、郵便車にしても
サン・オーキン・デイライト号の
リリーフカーに使えそうなのが最適でした。

 2011年6月15日、その日は鉄道模型市の
反省会を行った後、銀座へ向かいました。
数日前、巣鴨時代以来、数年ぶりに
ご来店されたお客様(=RM Models
別冊『CRAFT TRAINS』にてカンタム
日本型蒸機・天プラ蒸機×発煙装置の
ネタを掲載されたT氏)から『天賞堂の
エバーグリーンショップにサンセット・
モデルスなどが中心だけれどアメリカ形
ブラス蒸機が安値で大量に出ている』
というお話を伺い、『どんなのが出ている
のだろう?』と興味本位で行ってみた
のです。

 ちょうどその週は有楽町・みゆき座他
の全国東宝系映画館の一部で行って
いる『午前10時の映画祭(赤の50本)』で
みゆき座にて名作『12人の怒れる男』が
上映される週でした。
 私は高校生の頃から天賞堂の裏にあった
『銀座文化劇場』という名画座
(既に閉館)で『翼よ、あれがパリの灯だ』、
『北北西に進路をとれ』とった作品を
観に行っていたのですがDVDの普及と共に
映画館で古い映画が上映される事も
少なくなって行きました。
 実際に2013年度以降、デジタル上映が
主流になるとフィルム上映で見る機会は
激減する、しかも今回は『海外にある
オリジナル原版からのニュープリント』
という事で、古い映画フィルムに特有の
あのイヤな『ゴミ』や『キズ』、『雑音』が
ほぼ皆無の状態で見られる、とあっては
行かないわけにはいきません!
 先に劇場窓口にて鑑賞券(=昔の
映画館と違って今の映画館は具体的に
席を指定できる全席指定です)を購入、
その足で時間つぶしがてら天賞堂銀座店へ。
平日の夕方とあって、お客様はまばら
でした。

 確かに4階のショーケースには未塗装を
中心に米国型蒸機が大量に並んでいました。
といってもオリエンタル・リミテッド
(=現ブロードウェイ・リミテッド・インポーツ)
のUSRA 2-8-2、2-10-2から
PFM/Unitedのサンタフェ4-8-4
(と言っても1960~1970年代製と
思われる物)まで。『うーん、想像していた
よりも出物は無さそうだなあ』と思った時、
ショーケース下方に積まれていた箱の中に
ウェストサイド・モデルスの小さな赤い箱を
見つけたのです。
 『どうせUP 7000(4-8-2)かSPの何か
だろう』と思ってラベルを見ると
『SOUTHERN PACIFIC A-6』と書いて
あるではないですか!それを見た時の
静かな興奮といったら言い表せません!
 見せていただくと走りはまあまあ、テンダー
上面の手すりが若干曲がってはいたものの、
その位はブラスなので『クイッ』とやれば
直るはずと思い、そのまま購入しました。
(なんと25,200円でした。)

 映画を観終わった後は自宅へ直行。
簡単に試運転の後、テンダー後部カプラーを
ケーディースケールに変更、ボイラーウェイトを
積んでなかったので若干カット(穴位置に
対して長かった)の上、積み(テンダーウェイト
搭載のみ2012-07-11)ました。
(このせいで走りがイマイチだったのかも
しれません。)

 これで編成前半部分は現在、『正式』と
『超なんちゃって』の2編成になったわけです。
 なお編成後部について、実物は初代
流線型編成のコーヒーショップから後ろ半分
、ですが初代編成の正式仕様はプラ系では
数年前にアサーンがジェネシスブランドにて
MT-4蒸機と共に製品化する、という発表を
小冊子にて行ったものの現時点(=2012年
7月上旬)では結局、座席車のみの発売で
止まっていますので、とりあえずブロードウェイ
・リミテッド・インポーツ社のコースト・
デイライト(これも連接座席車と展望車の
発売で止まっていますが…)が発売になったら
後部編成(流石にサクラメント・デイライトに
3連接食堂車は不自然なのでカット)を連結
しようかと思っていますが上記とは別に
『超なんちゃって編成』用にアサーン/RTRの
流線型コーチ×4、食堂車、展望車を
用意してあります。
〈3.模型(HOスケール):実物忠実編成〉
(1946年6月上旬調査)
・SP 4-4-2 class A-6 #3000 or 3001
(Daylight Scheme)
・Baggage-Chair(Hariman):3167
(Daylight Scheme・Only-One)
・Coffee Shop(77-D-11・80-Seat):
10400 or 10401
・Chair(79-C-2・46-Seat)
・Articulated Chair(66-ACW-X・46-Seat)
・Articulated Chair(66-ACM-X・46-Seat)
・Parlor-Observation(77-PRO-1・22-Seat):
2950 or 2951

または

(1947年2月調査)
・SP 4-4-2 class A-6 #3000 or 3001
(Daylight Scheme)
・Baggage-Chair(Hariman):3167
(Daylight Scheme・Only-One)
・Coffee Shop(77-D-11・80-Seat):
10400 or 10401
・Chair(79-C-2・46-Seat):2493 or 2488
・Articulated Chair(66-ACW-X・46-Seat):
2482 or 2462
・Articulated Chair(66-ACM-X・46-Seat):
2481 or 2461
・Chair(79-C-2・46-Seat):2486 or 2424
*機関車とコンバインの間にはハリマン荷物車、
郵便車が数輛入るのが通常のようです。
(SP Passenger Cars vol.3 "Head End
Equipment" SP歴史協会刊等にて確認)
*資料を調べてみると実物は思ったよりも
長かったのです!
・模型化編成例:その1
(編成全体写真)
店内で背景画も無い状態で
撮影している事をご了解下さい。
なお連接座席車には
仮にMTH製品×2を使用しております。
・機関車単体:ボイラー側から
ロッド類と先輪及びテンダー車輪に
ネオリューブを塗ると足周りが
落ち着いて来るかと思います。
後はナンバーボードにマイクロスケール
ディカールで『53』、『54』または
『X3000』ですかね?
・機関車単体:テンダー側から
レタリングは最初から
戦後レタリングでした。(ただし銀文字)
・荷物・座席合造車:荷物室側から
PSC製品です。荷物室のドアは
開閉しますが『いらんお節介』
のような気もします。客室内の
座席は無いのでプラ板に市販の
椅子を貼ったものを入れようかと
思っています。室内灯は入れる
のであれば電池式か蓄電
コンデンサー付きが良いかと
思います。
SG管が前方へ突き出しているので
ロングシャンクのケーディーカプラーを
取付けないとカプラーの動きに
干渉してしまうのが難点です。
・荷物・座席合造車:客室側から
*連結してみると意外と
真鍮製品とプラ製品の色味が
合っているのがわかるかと思います。
〈4.模型(HOスケール):なんちゃって編成〉
〈なんちゃって編成〉
・Old Time 2-6-0 Steam
 SP/Daylight Scheme
(RND-84779 #1601 or RND-84880 #1603)
・Arch Roof Combine
 SP/Daylight Scheme
(RND-86543)
・PS Articulated Chair Cars 2-Packs
(MTH or BLI)
*コーヒーショップ・カーは
プラ製品では単車仕様が
製品化されていないため省略。
*コンバインには貫通幌が
付いていないためアメリカン・
リミテッド・モデルス(=現在は
サン・ファン・カー・カンパニーの
一部門)から別売の可動式
貫通幌キットを取付けると
より良くなります!
〈5.模型(HOスケール):超なんちゃって編成〉
超なんちゃって編成
・牽引機:
Athearn/Roundhouse
Old Time 2-6-0 Steam
 SP/Daylight Scheme
RND-84779 #1601
RND-84780 #1603
*ゴムタイヤを履いているので
この程度は引き出せます!

・HW Combine
Athearn/Roundhouse
Arch Roof Combine
 SP/Daylight Scheme
RND-86543 #3176×1

・Streamline Diner
Athearn/RTR
Streamlined Diner
 SP/Daylight Scheme
ATH-7962×1
*コーヒーショップカーの代用です。

・Streamline Coach
Athearn/RTR
Streamlined Coach
 SP/Daylight Scheme
ATH-7964×2輛で1組みを
1組み+1輛。
*機関車のサイズからすると
2×1組みだけでも
良い感じです。

・Streamline Observation
Athearn/RTR
Streamlined Observation
 SP/Daylight Scheme
ATH-7965×1
*『ブツ切り』にしても良いですが
せっかくなら展望車があった方が
少しはサマになります。
実車でも連結されていた
時期もあるようですし…。