さかつう鉄道模型店
プラ製品で遊ぶ米国の客車列車Web版

(American Passenger Trains by Plastic Models)

その6:客室仕切り板の使い方

 1:客車の室内装置は『無くて当たり前』だった過去
 2:現在発売されている仕切り板
 3:アサーン社旧型客車への加工例
 4:ラウンドハウス社プルマン・パレスカーへの加工例

《1:客車の室内装置は『無くて当たり前』だった過去》
 今でこそ客車の室内装置は『付いていて当たり前』ですが以前のアサーン社の流線形客車や旧型
客車キットは言うに及ばずラウンドハウス社のハリマンカー、プルマン・パレスカー、50フィートオーバー
ランド、30フィートオーバートン客車のキット、旧IHC、リバロッシのIHC向け製品、といったプラ客車だけ
でなく高価な真鍮製品でさえ室内装置は付いていませんでした。
 そのためブリキ客車キット時代のウォルサーズ社は、各製品用に室内装置キットを発売していたよう
ですがブリキ客車シリ-ズの終了と共にいつの間にか絶版になったようです。

 しかし『室内装置が無い』ということは連結面から車内を覗くと『反対側の貫通幌まで丸見え』という
ことになります。貫通扉が付いている製品であれば気にならないのですが、それさえない製品の場合、
編成最後尾に連結すると『先頭まで丸見え』ということになりかねません。

 でも日本で客車列車に乗車されたことのある方は一部の通勤型を除いて車端部の乗降デッキと車内
は仕切り板で仕切られているのをご存知でしょう。アメリカだって同じで旧型・流線形問わず、やはりそこ
には『仕切り板』と言うものが存在しているのです。
 ですので簡単ながら仕切り板を付けるだけで『編成最後尾に連結しても良い車輛』になるわけです。
《2:現在発売されている仕切り板》
現在アメリカ形客車用の仕切り板としては以下の2点が発売されています。

1.New England Rail Service
529-210 Pullman Interior Vestibule Walls 8-Packs
 これは本来、旧リバロッシやIHCの旧型客車に使用する製品です。旧リバロッシの旧型客車は室内
装置が付いていてもデッキ部分は簡素な造りのため、これを付けると雰囲気が良くなります。
 片面は写真のデッキ側タイプ、反対面はモールド無しです。基本的に写真に写っている面を見える
ようにセットします。モールド無し面には窓周囲に窓ガラス用のへこみがつけてあります。4輛分(8枚)入り
です。


2.The Palace Car Company
548-5114 Wood Vestibule Bulkheads 2-Packs
 これは旧ラウンドハウス社製プルマン・パレスカー用の製品で、ザ・パレスカー・カンパニー社の直販
サイト限定では各種間仕切りや椅子、ソファーなどをセットにしたキット(と言う名の素材セット)を車種
別に販売しています。

 部品は両面にモールドがあり、片側は写真の縦筋入りタイプ、反対面は平滑面タイプです。場所に
よって使い分けると良いと思います。こちらは1輛分(2枚)入りです。
《3:アサーン社旧型客車への加工例》
 
 上の2枚の写真はアサーン製旧型展望車にニュー・イングランド社の部品をセットした状態です。床板
の側面扉ギリギリの位置に接着しています。扉部の窓に窓セルを入れればもっと良いのでしょうが仕切り
板の色で悩んでいるため入れていません。
 ついでに室内装置取り付け可能にするためウェイトを製品に付いている平ウェイト(ATH90377 Flat Weight)+変形ウェイト(ATH90376 Offset Weight)→平ウェイト×2(ATH90377)に変更しています。
 この後、t0.5mmの白プラ板で室内床面、客室仕切り板を作った上で、実車資料を参考に各社から
発売されている椅子、ソファーなどを配置するのがよいでしょう。ウェイトへの固定は両面テープで十分
です。
 またアメリカン・リミテッド社の貫通幌も付けてあるのでお手持ちの車輛とだいぶ印象が異なっていると
思います。

 上記作例は当店店頭に常時展示中です。(車種変更の上、展示中です。)
《4:ラウンドハウス社プルマン・パレスカーへの加工例》
 
 左は取付け前、右は取付け後です。こちらも床板の側面扉ギリギリに付けるのはアサーンと同様です
が、そのままでは窮屈だったので左右それぞれ0.5mm程度ずつカットした上で接着。その後、GSIクレオス
/ミスター水性カラーのH37 ウッドブラウンで塗装してあります。
 H37 ウッドブラウンは性質上、光沢仕上げになりますが『ニス仕上げの状態』と考えています。


 
 左はコンバインの加工例。乗降デッキ部にプラスして荷物室との仕切りも追加しています。
 右は加工済みと未加工を妻面から見た状態。未加工は車内床面のウェイトが丸見えで見栄えが
悪い。



 車体と組み合わせたコンバインを側面から車内を覗く。中央、丸窓に挟まれた窓からウッドブラウンで
塗装した仕切り板がチラッと見える。仕切り板を付けない場合、この角度から荷物ドアが見えてしまい
興醒めです。
 なお展望車も展望ラウンジ部にも仕切り板を追加した方が展望デッキ側からの見栄えが良いと思い
ます。

 上記作例も当店店頭に常時展示中です。(終了致しました。)
 上記で紹介した部品の在庫等については弊社サイト内『HOスケール客車用部品』のページをご覧
下さい。
 ではこの連載お決まりの『閉め言葉』で今回分を終わりにしましょう。

『それでは次回まで、ごきげんよう。』
Next Trains:その7
HOスケールプラ客車プロトタイプ・データベース
(その1・現役メーカー編)(2010-12-14・仮アップ)