さかつう鉄道模型店
DCCのヒントコーナー

このページではDCCの際に知っていた方が
良いこと、ヒントなどを掲載していきます。

1.線路電源は先に入れるべし
 アナログDC(=以下、便宜上、ADC)制御の場合は『車輛を載せてから電源投入』が
当たり前でしたがDCC制御(=以下DCC)の場合、私の経験から『線路電源が投入
されている線路へリレーラーを用いて車輛(特に機関車)を投入』の方がデコーダーに
対する負担が少ないようです。

 というのもADC時はコントローラーのスロットルを回すことで0ボルトから12ボルトへ変化
しましたがDCC時は電源投入時に0ボルトから一気に13.5ボルト(=カトー/デジトラックス
D-101日本国内仕様単体使用時。レンツ等の他社製品では16ボルトの場合も)まで
一瞬のうちに上昇します。
 このとき瞬間的にですが電流値が『通常時の10倍』程度に上昇した上で2.5アンペア
付近(=D-101)で落着きます。
 この電流値の瞬間的上昇の事を電気用語では『突入電流』と称するようです。
 この突入電流がデコーダーを痛める、というわけです。

 事実、店頭にて問題なく試運転を行ったお客様から『自宅で運転しようとして電源を
入れた瞬間にLEDが切れた』という事例がありました。(この場合はディーゼル機関車の
ナンバーボードだけが、です。)
 伺うとその方も『車輛が先派』でした。

 ではレイアウトなど常時車輛が載っている場合はどうしたら良いか?その答えは当店
店頭にある試運転兼デモ線にあります。
(鉄模連ショウでも一部カットしていますが同じ物を持参しています。)

 当店のHOスケール用試運転線は複線に片渡り線が2箇所あります。それらはすべて
『非選択式(=どちらに開いていても両方向に電気が流れる仕様)』です。
 それ以外に選択式(=開いている方向のみに電気が流れる仕様)になっている『ムダな』
ポイントが1箇所セットしてあります。
 それはショーケース側の線路の最もコントローラーに近い場所でフィーダー線路と
片渡り線の間です。分岐器の向きは『片渡り線向き』です。
電源投入前

このポイントはコントローラーからの電気を逃がすため
『側線向き(=脱線ポイント状態)』です。

上写真:D-101
液晶画面右の『TRACK STATUS』ランプが消えている
事から本線へ電気が供給されていないことがわかります。

下写真:ポイント。側線側へ切り替わっています。
電源投入後、若干間を空けてから、このポイントを
本線側(=機関車がいる方)へ切り替えれば安定した
状態になっている電気が流れる、というわけです。

 電源を落とす際は逆の手順で行えば良いわけです。

上写真:D-101
液晶画面右の『TRACK STATUS』ランプが点灯
している事から本線へ電気が供給されていることが
わかります。

下写真:ポイント。本線側へ切り替わっています。
 ただし鉄模連会場の場合、スペースの関係上、上記のポイント部分は持って
いけません。そのため会場では『D-101と接続してあるコードを抜いた状態で
電源ON/OFFを行う』という形で対処しています。

 これを応用すれば固定レイアウトの場合、D-101(=コマンドステーション)と
フィーダー線路の間にON/OFFスイッチを設け、これを操作することによってD-101
からの電気が運転用線路に流れないようにする、という方法が良策かと思います。
2.一個体の連続走行は手短にすべし
 実物も走行→駅等で停車、を繰り返すわけで、その中には車輛自体を休ませる
都合上の場合もあります。夏、抵抗制御の電車から降りると床下から『ムワッ!』
とした熱気が上がっていることでもわかるかと思います。

 模型車輛などが搭載しているDCCデコーダーは『電子部品の塊』です。お手持ちの
パソコン等でおわかりのとおり電子部品は基本的に通電中は発熱します。もちろん
室温や人間の体温程度では壊れませんが『連続走行している』ということは、すなわち
『コマンドステーション(=コントローラー)と絶えず通信している』ということです。
 さらに走行機能のデコーダーが搭載されている場所はモーター付近である事も多い
ですし、蒸気機関車のテンダーのように『密閉された場所』であることも多いです。
パソコンなどのようにファン等を付けて『強制空冷する』という手もあるかもしれませんが、
それが出来るのはOスケールなどの大型模型だけかと思います。
 となればHOやNでは『停車させて冷やす』しか方法はありません。

 欧米で多く行われる『実物の運転を再現した複数の人物による運転セッション』でも
『たった一つの動力車が常時走行している』というのは、ものすごく小さな鉄道を除き、
実物の運転を再現している以上
、ほぼありえない話で退避や行き違い、機関車交換といった『停車』を繰り返すわけ
です。

 しかし日本でよく行われる『お座敷運転』では多くの場合、エンドレスを常時走行
していることになるためデコーダーが熱暴走しやすい環境、とも言えます。
 実際、デコーダーによっては30分以上連続走行していたら誤動作をするようになった、
という事例もあります。(どの程度のスピードであったのかは不明です)

 本来、DCCサウンドが付くと『スケールスピードに近い運転をしたくなる』はず
(そうしないと音が不自然になる)なのですが中には『音が付いてもカッ飛ばさないと
気が済まない!』という方もいらっしゃるようで…。
 これはもうデコーダーにしてみれば『熱暴走してください!』と言われているようなもの
です。

 ですので一個体の連続走行はスピード、環境、当日の室温等にもよるでしょうが
『スケールスピードであっても10~15分程度』に留めておいた方が無難だと思います。

 ちなみに当店のデモ機達は営業時間中(=1日約8時間程度)は常時数輛がサウンド
を発していますが、それは『常時停車』だから出来る芸当、とも言えます。
(それでも車輛を触ると温かくなっています。)
3.アドレス変更する際はCV29の数値を変更してから!
 アドレス変更する際、2桁から4桁にする場合はCV29の数値も変化します。が、一部
デコーダーでは先にCV29の数値を変更しておかないと変更時に『エラー』になることが
あります。

 ここで基本中の基本『CV29とは?』について簡単におさらいを。
 CV29は『スロットル前進位置での進行方向(前進 or 後進)』、『アドレス対応桁数
(2桁 or 4桁)』、『スピードステップ数(14 or 128)』、『アナログDC制御(OK or NO)』
といった運転する上で重要な部分を司っている全CV値の中でもたいへん重要なCV値
です。

 そのため場合によっては他の数値にまで影響を与える可能性もありますのでご注意
ください。
 なおCV29内の数値に関してはデコーダーメーカーによって一部異なる場合があります
のでここには記載しませんがMRC社のサイト内ではPDFファイル形式でダウンロード出来る
ようになっています。
4.ページモードの使用は中止するべし
 D-101セット付属の説明書及びDCS50K(=D-101セットに含まれるコマンドステーション
兼コントローラー)の初期設定のプログラムモードは『ページモード(=PAGE)』ですが数年前
よりデジトラックスのデコーダーでさえページモード非対応のデコーダーが出て来ております。
 それだけでなくMRCやサウンドトラックスなどのデコーダーではページモードでは読み込めない
、エラー表示になる、書き込み時に意図しないデータが書き込まれる、といった不具合が
続出しています。

 これを防ぐに当店では『ダイレクトモード(=dir)』を使用することをお勧めします。DSC50K
にはプログラムモードが4種(=ページ、ダイレクト、フィシカル、)搭載されていますが
ダイレクトモードはページモードの表示が若干異なる(=Pの代わりにFがひっくり返ったような
表示になります)だけでプログラムレールを使用する、といった部分は同じです。
5.線路及び車輪のクリーニングは十分するべし
 最近の製品は比較的消費電流の少ないカンモーターやLEDランプを使用している製品が
多いので以前ほど汚れなくなりましたが、いくら消費電流が少ない、と言ってもDCCの場合、
常時高電圧(=といっても12~16V程度ですが…)を流しているわけですから線路面の汚れは
棒モーター+12V電球程ではないとはいえ『比較的早い』と言えます。
 DCCにとって集電は命。汚れると正確な信号を拾えなくなるため最悪、暴走や脱線と
いった『事故』につながります。
 そうなる前に集電車輪と線路のクリーニングは十分行ってください。なおこの際、
『ヤスリ等で磨く』という行為は非常に細かいサンドペーパー類(=WAVE製『ヤスリスティック
・フィニッシュ』クラスの非常に細かいものを除く)線路面が荒れて必要以上のスパークによって
汚れを呼び込むことになるので、ニッケルメッキ・レールでは不要です。ヤスリ研磨が絶対に
必要なのは『真鍮地剥き出しの線路だけ』です。
 それ以外のニッケルメッキやステンレス線路は上記のヤスリスティック・フィニッシュで研磨して
表面をツルツルにした上でカトーなどのレールクリーニング液で清掃するだけで十分に集電効果
を保てます。
6.記事内容:未定(Coming Soon)



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